未来の空間に杭を打つ

つれずれなるままの日常と妄想

読書感想文なら、加藤シゲアキさんの「傘を持たない蟻たちは」で!

 

人に会うたびにこの本をすすめている

なぜなら、こんな多様性のある、いろいろなジャンルが楽しめる

短編集ってなかなかないからだ

 

小、中学生になら「イガヌの雨」をおすすめしたい

空から、未知の生命体イガヌが降ってくるお話で、人間はそのイガヌを美味の食糧として食べており、かつエネルギーにも利用している。主人公の祖父の考えかたから、食生活について、また、保存も簡単で股を割くだけで食べられるイガヌの形態から食料問題や手をかけて作る料理の問題についても考えを巡らせることができる

 

何より、「イガヌ、イガヌ」と鳴きながら降ってくる宇宙人が可愛い

 

 

高校生以上には全ての作品をお勧めできる

「イガヌの雨」以外の作品は性描写が激しいとか言われているが、作品として不可欠だから性描写がなされているので、不自然なものではない。て、いうかそこにこだわって感想文の対象に選ばないのはあまりにもったいないきがする

 

内容がすごく面白いのだから!

 

染色は才能がある彼女との出会いと別れを描いた美大生の物語、スプレー缶で絵具を腕に吹き付けないと不安な彼女の描写が鋭い

 

Undreesは脱サラしたサラリーマンの話、準備をし、職場のひとにも惜しまれて辞めたはずが・・・スリリングな結末に驚かされる

 

恋愛小説(仮)は恋愛小説の執筆依頼を頼まれた小説家が、書いたとおりの内容の夢をみる事から、その夢の恋愛にのめり込んでいく話、眠るためにのんだ睡眠薬とお酒でぼろぼろになり入院した病院で、恋愛小説(仮)を捨ててしまうのには驚いた。もう一度書き直すつもりなのだろうか・・・

 

インターセプトは、男から見た、心理テクニックをつかった女を落とす方法、女から見た心理テクニックを使った男を落とす方法、両方の立場から書かれているのが面白い。結局は女の術中にはまった男の話としても読める。カクテルの使い方がおしゃれ

 

おれさまのいうとおり、これはドラマ出演記念に書いた筒井康隆時をかける少女」へのオマージュ作品、軽いタッチの作品で面白い

 

にべもなく、よるべもなくは、短編集のために書き下ろされたもので、この短編集の中でもっとも純文学的だ。親友の同性愛告白による葛藤の物語り。お兄さんのエピソード、根津爺さんのエピソードがリアルに迫ってくる。青春の痛みを感じる作品

 

何度でもよめる!飽きない動的な短編集

 

加藤シゲアキの「傘を持たない蟻たちは」

 

お勧めです!